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SPIKE WARS -チャプター6 いつかはモレリア(前編)-

メーカー横断履き比べ企画第2弾

Icon kaneko 金子 達仁 | 2016/07/17

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〔CHAPTER6・いつかはモレリア(前編)〕


【登場人物】
聞き手(編集部)
マスターナガイ(永井秀樹=東京ヴェルディ1969=)

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◆永井秀樹が手にしたミズノ「モレリア2」。


──さあ、今回はミズノの超ロングセラーモデル、モレリア2の登場でございます。
前回、マスター・ナガイが本田圭佑選手の使用モデル、ウェイブイグニタスを酷評されたこともありまして、今回はわざわざミズノの広報の方が乗り込んできてらっしゃいます。
ミズノ広報のA氏「初めまして。ナガイ選手であれば、きっと気に入っていただけるであろうモデルを2つ、お持ちいたしました」
マスター永井「あ、ありがとうございます。では、さっそく──」

──いかがでございますか。
マスター永井「これよ、これ」

──と、申しますと。
マスター永井「まさに俺がスパイクに求めてたもの。すべてが絶妙だわ。特にカカトの部分のホールド感は素晴らしい。文句なしの5点満点。ブラジルの選手が好きなのもわかるよね」

──ミズノ広報のAさん、ちなみにいま世界でこのモレリアを履いている選手は?
ミズノ広報のA氏「パリ・サンジェルマンのモッタ選手ですかね。日本ではフロンターレの中村選手
であったり、サンフレッチェの青山選手であったりと、このスパイクをずっと愛して下さってる選手も
多いのですが。あ、ちょっと昔であれば、ブラジルのリヴァウド選手もそうでしたね」
マスター永井「最初は確かカレッカでしたよね。あのあたりから、ミズノと言えばブラジルって
イメージができあがってきた印象がある。そうそう、いまはすっかりスーパースターになったフッキ
なんかも、ヴェルディ時代から嬉々としてミズノのスパイク履いてたなあ。あいつ、いまでもミズノですよね」
ミズノ広報のA氏「はい、おかげさまで」

──フィット感はいかがですか。
マスター永井「いまの段階では4・5。でも、それでいいと思うんだ」

──と、申しますと?
マスター永井「人工皮革のスパイクと違って、これは育っていくスパイクだから。
いまは感じる0・5点分の減点は、履いていくうちに消えていくだろうし、最終的には5点を超える
フィット感に成長することだってありうる。古いタイプの考えなのかもしれないけど、俺はやっぱり、
こういうスパイクが好きだな」

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マスター永井「俺の感覚だと軽すぎる。もっと重くていい」


──重さに関しては?
マスター永井「このスパイクで唯一引っかかるのはそこだよね。結構、軽い。
てか、俺の感覚だと軽すぎる。もっと重くていい。4点」
ミズノ広報のA氏「実は、モレリア・ユーザーの中からも軽さを求める声が出ておりまして、
それに応える形でマイナーチェンジと申しますか、軽量化を施した次第です。
ただ、ナガイ選手のご意見、開発担当者に伝えさせていただきます」

──ちなみにマスター・ナガイの使用サイズ25・5センチですと、191・5グラムでございました。
アシックスのDSライトより7グラム軽い。しかも、あのDSライトはわたくしどもの手違いで26・5センチのモデルでしたから、実質はほぼ変わらないかと。
マスター永井「へ~え、そうなんだ。ということは、やっぱりスパイクの重さっていうのは、絶対的な
数値というよりも体感によるところが大きいのかもね。現実問題、DSライトには感じなかった軽さを、このモレリアには感じてるわけだから」

──確かに。どうしても日本人の足型にあったスパイクが欲しい。天然皮革のスパイクが欲しい。
DSライトとモレリアを比較する。スペック上は非常に似通った2足ですが、軽さを重視する方は
モレリアにより強く惹かれるのかもしれません。
マスター永井「だね。そこはもう、完全に好みの問題だから」

──ソールのグリップはいかがでしょう。
マスター永井「最高。不愉快な突き上げもないし、それでいてしっかり地面を噛んでくれる感覚もある。
さすがの5点満点」

──走りやすさは?
マスター永井「人馬一体っていうのかなあ、足とスパイクが一体化してる感じが強く味わえる。
素足感覚っていうのは、本来、こういうスパイクを称賛するためにある言葉なんだろうね。4・5点」

──キックフィールについて。
マスター永井「フィット感について言ったこととカブるんだけど、使っていくうち、履いていくうちに
ドンピシャな感じに育っていくんだと思う。4・5点」

──ひょっとしたら、これは問題かもしれません。デザイン(笑)。
マスター永井「確かにつまらないよね(笑)。2点。だけど、そのつまらなさ、古くささがいいって
選手、絶対いると思うよ。これだけカラースパイクが多くなってくると、その中であえて黒いスパイクを選ぶ美学っていうか。ただ、若い選手からすると、このデザインだけで選択肢から外しちゃうところはあるかもね」

──耐久性。
マスター永井「これ、いわゆるトップエンドのモデルだよね。
昔、トヨタのCMで「いつかはクラウン」っていうのがあったけど、ミズノのスパイクに憧れる選手が
最終的にたどりつくのがここ、みたいなさ。だけど、そういう存在であるにもかかわらず、造り、繊細
でありつつも丈夫にできてるよね。
これだったら、高校生が普段遣いしても結構大丈夫なんじゃないかな。4・5点」

(以下次回へ/取材協力・東京ヴェルディ1969)