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元体育会ソッカー部な国会議員!元榮太一郎(参議院議員&弁護士ドットコム株式会社 代表取締役会長)のJリーグを世界一のリーグへ 「第1回:株式会社横浜フリエスポーツクラブ代表取締役COO 上尾和大 Vol.1 」

1993年当時のJリーグと同時期にスタートしたイングランドのプレミアリーグの市場価値は1対1であった。しかし、現在ではかなりの差をつけられている。「どうすればJリーグがプレミアリーグに追いつくほど盛り上がるのか?サッカーに携わる方々の待遇がより良くなるのか?」そんな課題に対して、元体育会ソッカー部の元榮太一郎が動いた。サッカー関係者から話を聞き、実行に移していく新企画。第1弾はJ2リーグに所属する横浜FCの上尾和大社長との対談である。進行役はKING GEARの発起人である金子達仁が務めた。

Icon 16466945 810048175800857 1247399717 n 菊池 康平 | 2019/05/16
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【元榮太一郎】 

1975年生まれ 
参議院議員 
弁護士 
弁護士法人法律事務所オーセンス 代表弁護士 
弁護士ドットコム株式会社 代表取締役会長   

参議院議員であり、弁護士ドットコム株式会社の創業者で現在は代表取締役会長を務めている。主なサッカー歴は湘南高校サッカー部。慶應義塾大学体育会ソッカー部(2年生の5月まで在籍)。

弁護士ワールドカップ2004年・2006年日本代表。第11回 日韓国会議員親善サッカー大会MVP。サッカーが日本一上手い国会議員と呼んでよいだろう。同所はJリーグの東京ヴェルディの顧問弁護士やスポンサーを務めた経験もある。
    

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【上尾和大】
   
1985年生まれ。中京大学体育学部体育科学科卒業後、株式会社LEOCへ入社。同社で営業部、事業部、人事部を経験し、グループ会社の株式会社GINZA ONODERAにて、鮨銀座おのでらニューヨーク店、鮨銀座おのでらロサンゼルス店を立上げ後、マーケティング責任者として同社のブランディングに従事。

鮨銀座おのでらニューヨーク店は、2018年NYミシュランガイドにて二つ星を獲得。2018年4月より株式会社横浜フリエスポーツクラブの代表取締役COOに就任。※株式会社あしたのチーム「講師紹介」より引用     

――新企画に協力いただきありがとうございます。早速本題に入りますが、Jリーグはもっと凄いコンテンツになるはずなんです。

1993年当時のJリーグと同じく出来立てほやほやだったイングランドのプレミアリーグの市場価値は1対1でした。1994年当時のNPBとMLBの関係も実はそれに近かったんです。   

それが今やMLBは自家用ジェットで移動しています。アメリカは日本より人口も多いしGDPも高い。だから仕方がないのかと思って諦めるには「スペインは?イングランドは?」となりますよね。   

つまり僕らの国には、まだやってないから出てきていないお金や、やってないから発掘されていない力があるはずです。

それを僕らも探していくけれどJリーグのチームの社長に「これが邪魔です」「こんなことになったら僕らはもっと出来ます」という話を聞かせて頂いて、それを国会議員の元榮さんにも声をあげて頂こうという企画なんです。   

まずは、2017年の横浜FCの収支ですがご覧になっていかがですか?

(2017年度J1クラブ決算一覧より 

www.jleague.jp/docs/aboutj/club-h29kaiji.pdf )
  

元榮:1番不安定な広告収入はスポンサー収入に半分依存しているわけですよね。毎年だいたい同じ額ですか?   

上尾:過去の売上を見ていただければわかりますが、広告料収入は年々増えているものの営業収益の55%~60%が広告料収入という比率は変わっていません。   

元榮:そうなると思い切った補強などをする状況じゃないですよね。事務所(法律事務所オーセンス)で以前に東京ヴェルディをサポートしていましたが、なんとか黒字を確保すると共に債務超過にならないように、ユースから育ってきた有望な若手選手を売って移籍金で何とか黒字にしていた記憶があります。   

その年、その年に生き残るために本当は中長期的にはやってはいけないことをやりながら運営している様子を見てきましたが、横浜FCはいかがですか?   

上尾:横浜FCにおいては有望な選手を売ってということは過去にもありませんが、その年に生き残るために必死です。

クラブライセンスのルールも変わって3期連続で赤字でなければという部分はあるので、大きな投資をするクラブも出てきてはいると思います。

ただJ2の規模ですと安定的な収入となる入場料収入が課題となっており、
その為、大きな投資は難しいです。

横浜FCもそうですが、毎年毎年、何とかやりくりをしながらライセンスを維持することが至上命題のようなクラブが多いのかなという印象で、決算一覧を見ると、数字をあわせてるんじゃないかというくらい似たような収益構造で、ドングリの背比べのような状況が続いています。   

元榮:ジェフ千葉は営業収益が多少良いですよね。JRが広告費ということで投資しているんでしょうかね。名古屋もトヨタが入っていることもあり良いですね。J1で1番営業収益が良いのはこれを見ると浦和レッズですね。  

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――ただこれは2017年のデータなので、去年と今年のデータが出てきたらヴィッセル神戸が大変なことになっているはずです。ダゾーンマネーも入る前のデータですね。   

元榮:全体的に厳しいですよね。ヴィッセル神戸は三木谷さんが、ご自身のポケットマネーでやってる感じですかね。最近は楽天の子会社になったのでしょうか?

昔は本当に三木谷さんのプライベートカンパニーで出資してやっていたんですけれど、つい最近確認したら楽天の連結になっていたような気がしまして。
  

ーー本当はJリーグも矛盾しているところがあって、個人のお金でやるのは絶対ダメと言い続けていた時期がずっとあったんです。三木谷さんほどのお金になるとそれはOKになってしまったというのにはびっくりしましたけど。   

元榮:これを見ていると、基本的には大企業が、しっかり腰を据えてサポートしているチームは営業収益も大きいというような構造ですよね。地域サッカーという建前はあるのですが、実質は企業が丸抱えでクラブ運営をしているようですよね。   

ーー実はそうですよね。プロ野球がJリーグから地域密着という発想を少しもらって、ハイブリッドにしたじゃないですか。そっちの方が上手くいっていますよね。   

元榮:ソフトバンクホークスだから福岡の人が応援しないということは無いじゃないですか。福岡が地元のプロ野球チームということで身の心は基本1つで応援しているわけですから。   

この数字をみていると、理想は現実的に追及し、実現するものであり、理想を理想的に追いかけすぎているあまり、プレミアリーグと1993年はほぼ同じだったのに、今やこんなにも離されているという現状が、そういったところから来ているのではないかという気もします。   

ーーリネカーが日本に来たいと言って、プレミアリーグは引き留められなかったじゃないですか。プレミアとJは1対1でしたけど、名古屋グランパスの財力は全てのプレミアのチームより上だったという言い方もできるわけで。

貧しいチームもあったから1対1でしたけど、これを見て絶望的な気分になるのは、今のシステムを変えない限り日本にマンチェスターシティは生まれない。

つまり横浜FCのファンはずっとマリノスを上に見て人生が終わってしまいますよね。逆転の可能性がないじゃないですか。   

元榮:確かにマリノスは営業収益が50億くらいで横浜FCは12億ですね。約4倍離れてるんですね。

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――元々はフリューゲルスとマリノスのライバル関係だったじゃないですか。シティとユナイテッドがそうだったように。

そしてシティがどんどん没落していき、でも蘇ることができたのは新たなお金がプレミアリーグに流れ込むようになったからじゃないですか。

僕と元榮さんが一致しているのは、日本でそれを起こしたいんですよ。新しいお金を呼び込みたい。
  

実はひとつアイディアがあるんです。僕は阪神ファンでもありまして、今年のランディ・メッセンジャーが日本人扱いなんですよ。日本で10年プレーしたので外国人枠から外れるんです。   

元榮:帰化したという事ですか?   

――いや、アメリカ人のままですが、10年プレーしたので日本人選手の扱いをされるんです。   

この発想で胸スポンサーを10年やった企業はチーム名に企業名を入れてもいいというシステムを導入したら、長い目でお金を落とすチーム(企業)は絶対出てくると思うんです。   

さらに、これは日本サッカー協会にも持っていかなくてはならないのですが、20年、30年とやった企業に関していうと、日本代表の選手を扱える権利も与えてもよいと思うんです。

Jリーグが日本代表を支えているわけですから。こういうことによってお金がもっと集まると思うのですが、いかがですかね?   

上尾:そうですね、企業名が入ることには少し違和感はありますが、良い意味でも地域色が強くなりすぎているのかもしれませんので、違った発想で考えることは必要かもしれません。   

ーーこのままだと逆転がないじゃないですか。   

上尾:そうですね、ここ最近のユナイテッドとシティを見てみると、大きなお金が入ることで、ここ数年で追いつき、逆転するところまでいっています。

外国資本を含めて大きなお金を呼び込むことで急速に力をつけることができるということは事実だと思いますし、ライバル関係が盛り上がることで、Jリーグ自体の価値も上がっていくのかなと思います。

ただし、チーム名に入れることが良いのかどうかは慎重に議論しなければならないと思います。
  

Vol.2へつづく   

写真:佐藤主祥