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「水辺の事故ゼロ」のために〜港区でWater Safety教室開催〜

読者の皆さんは、ライフセービングという言葉を説明できるだろうか? ライフセービング協会が発行する「ウォーターセーフティ教本」には、ライフセービングとは「人命救助を本旨とした社会活動で、水辺の事故防止のための実践活動」だと記載されている。 さらに、「最も重要なのは事故を未然に防ぐことであり、まずは自分の身を自分で守り“水辺で溺れない”という方法を身につけ、さらに安全で安心な環境を作っていくこと」と述べている。

Icon segawa.taisuke1 瀬川 泰祐(せがわたいすけ) | 2019/05/26
日本ライフセービング協会とは

1991年に日本ライフガード協会と日本サーフライフセービング協会が統一され、日本ライフセービング協会が設立されてから28年が経った2019年。日本のライフセービング界は、公益財団法人の認定を受け「公益財団法人日本ライフセービング協会(以下JLA)」として、新たな一歩を踏み出した。 JLAは、日本のライフセービング界を代表し国際ライフセービング連盟に加盟する唯一の団体として、国際的な視野から、海岸をはじめとする全国の水辺の事故防止に向けた安全教育、監視・救助、防災、防災教育、環境保全等を行うライフセービングの普及・啓発、発展に関する事業を行い、国民の安全かつ快適な水辺の利用に寄与することを目的として活動している。

この日行われたWater Safety教室 

そして都心では30度を超える真夏日となった2019年5月25日(土)、東京都港区で、小学生を対象に「Water Safety教室」が行われた。 これから夏を迎え、水辺での活動が活発化するにあたって、このように水辺の安全教育が行われるのは、非常に有意義なことだろう。  この「Water Safety教室」は水辺の活動において危険な状況にならないように、楽しみながら安全を考えて行動できる能力を身につけてもらおうというものだ。 この日の講習のインストラクターは、ライフセービング界のレジェンド、飯沼誠司さん。さらに、トライアスロン界のニュー・ヒロイン、岸本新菜選手、サーフィンで東京オリンピック出場を目指す大村奈央選手、元競泳選手で2008年北京オリンピック、2016年リオデジャネイロオリンピックに出場した山口美咲さんがサポートにまわる豪華な講師陣。

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このWater Safety教室では、安全な入水方法や退水方法にはじまり、浮き身の姿勢のとり方など、水辺で自分の命を自分で守るための基本的な技術の習得、さらにはライフジャケットの役割や重要性の説明、水中での着脱の実技など、約90分にわたって講習が行われた。


  岸本新菜選手(トライアスロン)らによる自己紹介で参加者の緊張はほぐれた。 
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山口美咲さん(元競泳)は浮き身の姿勢をとる実技のお手本を見せた
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大村奈央選手(サーフィン)はビート板を使った実技のお手本を見せた
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真剣な眼差しで子供達を見守る飯沼誠司さん
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2人組(ないしは3人組)になり、お互いを確認しながら水辺での活動を行う「バディシステム」により、安全性は飛躍的に向上するという。写真はバディを組むサポート講師陣
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参加者からの感想
講習の参加者からは、「いざ海に出た時に、我が子が自分の身を守れるようになってもらいたいなと思って今日は参加させてもらいました。」(小学生の保護者)、「ライフジャケットを初めて着て楽しかった。」(参加した小学生)などといった好意的なコメントが寄せられた。 

飯沼誠司さんのコメント
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「子供たちは、水の危険を知るっていうこともなかなか機会がないと思いますので、このWater Safety教室での体験を通して、より水のことを理解してもらえたんじゃないかなと思います。まず、自分の身を守るための知識と技術を身につけてもらうことが大切ですが、今日はそこを重点的に伝えられたんじゃないかと思います。参加した子供たちも楽しそうにやってもらえたようですし、夏休み前に、こういった機会があったことは、我々にとっても、子供やその保護者の方々にとっても非常に有意義なことなのではないかと思います。」


岸本新菜選手(トライアスロン)のコメント
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「このような講習はこれまで受けたことはありませんでした。今日の講習で学んだことを皆が知っていれば、事前に水難事故は防げるなと思いました。今日のような講習機会をたくさん設けて、多くの人が自分の身を守れるようにしてくことがすごく大事だなと思いました。 私たちはいつもトライアスロンの大会では、ライフセーバーの方々にサポートしていただいている身なんですけれども、守ってもらうだけじゃなくて、自分たちで守れるようにしていかなければならないですね。私自身は選手ですけども、水の中にいるとちょっと怖いなって感じることもあるんですね。水をいっぱい飲んでしまうこともありますし、いくら練習していても水って怖いなってすごく思うので。水は常に危険が伴うということをたくさんの方に知ってもらいたいと思います。 また、溺れた場合のことはあまり考えたことがなかったので、手を振って助けを呼ぶとか、みんなで集まった方が助ける側は見やすいとか、そういった知らなかったことがたくさんあって、今日は講師という役割だったんですけど、すごく勉強になりました。」

取材・文・写真:瀬川泰祐