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さらなる高みを求めて「個」の価値を上げていく。K-1王者レオナ・ペタスが示す、チャンピオンとしての在り方【12・15 KRUSH初防衛戦】

12月15日に後楽園ホールで行われる『K-1 KRUSH FIGHT.109』のメインイベントのリングに立つ、第9代K-1 KRUSH FIGHTスーパーフェザー級王者のレオナ・ペタス。前回9月のK-1 KRUSHで、10代でチャンピオンの座に上り詰めた勢いのある西京佑馬を下し、スーパーフェザー級ベルトを戴冠した。筆者は、初防衛戦を前に話を伺うべく、弟・加藤虎於奈(かとう・こおな)と共にインストラクターを務める高田馬場のジム「LARA TOKYO」を訪問。その際、ベルトを肩に掛ける彼の表情は逞しく、王者の風格すら感じさせた。今回は、そんな新スーパーフェザー級王者の格闘技人生に迫る。

Icon 70090528 511982836063813 5722354386395463680 n 大楽聡詞 | 2019/12/14
――格闘技を始めたきっかけを教えて下さい。
 
レオナ:中学時代はサッカーをやっていたのですが、小学3年生から空手をしている弟を横目で見ながら、次第に「空手やりたいな」と思い始めたんです。ただ、中途半端に辞めるのは良くないなと思ったので、中学を卒業するまでサッカーは続け、高校に進学してからキックボクシングをやり始めました。
 
――リングネームの「レオナ・ペタス」の由来は何なんですか?
 
レオナ:僕は以前、元K-1選手で空手家のニコラス・ペタスさんに空手とキックボクシングを教えて頂いていたので、「リングネームにペタスの名前をください」とお願いしたんです。すると、ニコラスさんは快く承諾してくださったので、「レオナ・ペタス」で格闘家デビューをすることに決めました。この名に恥じぬよう、努力し続けているつもりです。
 
――入場曲が人気ゲーム「ファイナルファンタジー」の挿入歌というのにも驚いたのですが(笑)、選んだ決め手は?

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レオナ:実は入場曲を何にしようか決める時、アニメ「地獄先生ぬ〜べ〜」のオープニング曲であるFEEL SO BADさんの「バリバリ最強No.1」にするか、今の入場曲にするか迷っていて(笑)。うちは4兄弟なのですが、僕と虎於奈の間にいる弟に、最終的に今の入場曲に決めてもらいました。
 
――ぬ〜べ〜、懐かしいですね(笑)。プロデビューをされたのは、大学在学中の20歳の時ですよね?

レオナ:そうです。今思えば、その頃はトレーニングをするのに必死でした。というのも、周りが就活を始め、どんどん会社員の道に進んでいくなか、もし途中で妥協して諦めたら、就職した友達から「あいつ就職しなくて馬鹿だな」って言われるじゃないですか。だから格闘家として結果を残さないといけませんし、それ以前に自分が選んだ道ですから、責任を持って取り組みたかったので。
 
――仕事や環境は違えど、周りと競い合わなければいけなかった。

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レオナ:はい。最初は家族からも格闘技で生きていくことに対して反対されていました。でも、その格闘技で結果を残せば、家族や周りからも認めてもらえる。だから「それほど世間の目は冷たくないだろう」と思って頑張りました。いや、今も頑張っている最中ですね(笑)。
 
また、僕を慕ってジムに集まってくれる子供たち、応援に駆けつけてくれるファン、いつも身を削って教えてくださる半澤英俊トレーナー、そういう人たちを「負け」や「怠慢」で裏切りたくない。そのために努力を怠らず、勝利という最高の結果を出して、みなさんの期待に応え続けていきたいんです。
 
――「人の期待に応えること」が試合に臨む上でのモチベーションになっているんですね。周りからの期待が大きい初防衛戦が間近に迫っていますが、試合前に行うルーティンのようなものはありますか?

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レオナ:あります。それは「試合の4日前に爪を切る」ことです。爪を切ってから4日後が、一番拳を握りやすい爪の長さになるので。伸びすぎていると皮膚に当たるし、逆に短すぎると握った時、感覚が変わるんですよ。それで何度か試した結果、「爪を切るのは4日前が最適」だという結論に至ったわけです。
 
あと、これは弟もそうなのですが、計量後に点滴を受けてから焼肉を食べに行くんですね。その時、弟は違いますが、僕の場合は必ず「金剛園」という焼肉屋で食べると決めているんです。名前からして強そうなお店なので(笑)。でも逆に、鰻は絶対に食べないようにしています。
 
――鰻はスタミナをつけるのに適している食べ物だと思いますが、なぜ食べないのですか?
 
レオナ:僕は今、6連勝中なのですが、その前の2017年5月に行われたKRUSHのスーパーフェザー級王座決定戦で安保璃紅選手に敗れた時、計量後に鰻を食べているんです。それ以前にも、敗戦した5試合中3〜4戦は鰻を食べているんですよ。だからジンクス的に良くないので、鰻は絶対に食べないようにしています。鰻に全く罪はないんですけど(笑)。
 
――好きな食べ物が悪いジンクスの対象だと悲しくなりますね…(笑)。では、前回ベルトを奪取した時の試合を振り返っていただけますか?

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レオナ:はい。前回の対戦相手である西京佑馬選手は、2018年4月に一度勝っているので、「正直やりたくないな…」と思っていました。
 
――やりたくないというのは、相手としてやり難いということですか?
 
レオナ:単純に勝ち逃げしたいな、と(笑)。というのも、昨年対戦した時「この選手、強いな〜」と感じまして。その後、お互いに成長していますが、やはり若い方が成長するスピードが速いので、「このまま対戦せずに勝ち逃げしたいな」と思い始めたんです(笑)。でも、強いものに挑まなければチャンピオンになれませんから、今年の9月に試合を組んでもらいました。
 
――それでも戦った結果、ベルトを奪取することに成功しました。実際にチャンピオンになられて、何か変化はありましたか?

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レオナ:ベルトを獲得してからは、「他の選手には負けられない」という思いが強くなりました。それに将来的には、ここ「LARA TOKYO」のように素敵なジムを経営したいので、格闘家としての実績が欲しかったんです。そして今回、1つ形にすることができてホッとしています(笑)。

――9月のベルト戴冠の際は、お母さんもリングサイドで喜んでいましたね。
 
レオナ:実は現在、母は闘病中で、最近状態は良くなってきたんですけど、まだ予断を許さない状況なんです。ですから、一刻も早く母に僕の頑張っている姿を見せたいと思っていました。その状況でベルトを獲る姿を母に見せることができたので、親孝行できたかなと思います。
 
――前回から今回の試合まで3ヶ月ありましたが、この期間、どんなことを意識して練習しましたか?

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レオナ:まずは「自分はチャンピオンなんだ!」と、王者としてのプライド持つことを意識しました。そう自分に言い聞かせることで、細かい部分はあまり変わりませんが、以前はできなかったトレーニングにも取り組めましたね。
 
――では、挑戦者の山本直樹選手の印象を聞かせて下さい。
 
レオナ:とても上手な選手だと思います。ただ、まだチャンピオンには早いだろうと。年齢は僕より2つ上ですが、チャンピオンとしての器には時期尚早だと思います。
 
――山本選手からは「レオナ選手に舐められている。必ずひっくり返してやる」という言葉もありました。
 
レオナ:僕は山本選手のことを舐めてはいません。今日まで前回のタイトルマッチ以上に気を引き締めてトレーニングに臨んでいましたから。「舐められている」と思っている山本選手とリング上で対峙するのが楽しみですね。
 
――チャンピオンとして初防衛戦に向けた意気込みをお願いします。

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レオナ:僕はベルト自体には価値はなく、「ベルトを獲ることに価値がある」と思っています。なぜなら、ベルトの存在に捉われすぎると、視野が狭まってしまうから。ベルトどうこうより、まずは選手として高みを目指し、価値を高めていく。そうすれば視野は広がり、王座獲得という結果につながるんです。それを15日、しっかりと防衛して証明してみせます。
 
――最後に来年の目標を聞かせて下さい。
 
レオナ:来年は弟と2人でベルトを4本獲りたいですね。これは実現させたいと思っています。現在、手元にKRUSHのベルトがありますが、別のベルト(K-1 WORLD GP スーパーフェザー級)もあるので、そのベルトも狙いにきたいですね。弟にも、必ずついて来てほしい。兄弟一緒に勝ち続け、ベルトにつなげられるような1年にしたいです。
 
また、僕ら兄弟がインストラクターを務める「LARA TOKYO」というジムが12月からオープンしたので、指導者としても頑張りたいですね。当ジムは綺麗でお洒落ですし、トレーナー陣はエクササイズキックボクシングから、本格的なキックボクシングまで幅広く指導することができます。みなさんとキックボクシングができることを楽しみにしているので、ぜひお越しください!


取材・文/大楽聡詞
編集・写真/佐藤主祥


<インフォメーション>
 
レオナ選手がチャンピオンとして初防衛戦に臨む「K-1 KRUSH FIGHT.109」は12月15日、東京・水道橋にある「後楽園ホール」で行われます。
 
詳しくは、下記のK-1 KRUSH FIGHT公式サイトをご覧ください。
 
またレオナ選手や加藤虎於奈選手がインストラクターを担当する高田馬場「LARA TOKYO」は12月にオープンしたばかりです。
無料体験コースもあるので、興味のある方は下記のサイトご覧ください。
 
住所:〒170-0033東京都豊島区高田3-5-3第3布施ビル2F
営業時間:10:00 - 22:00(クラスにより変動)
定休日:なし
Tel : 080-7372-3030
Email : info@laratokyo.com
 
「LARA TOKYO」HPは↓こちら。