Fff

本田千尋の『フロム・トレーニングセンター』vol.1 “加速する田舎者“マルコ・ロイスを載せた、プーマの『エヴォスピード』

金子塾卒業生にして、現在はドイツに拠点を置くスポーツライター本田千尋のちょっと変化球な新企画。ブンデスリーガのスターはどんな音楽で気持ちを高め、どんなクルマで移動時間に鋭気を養い、そしてどんなスパイクで闘っているのか。トレーニング・センターからのダイレクト・レポートをお伝えします。

Icon img honda600 本田 千尋 | 2016/11/30
 


マルコ・ロイスが加速する。心踊る瞬間。人はスピードに憧れる。制御不能であれば、なおのことだ。止まらない/止められないロイス。誰もが身を焦がす。  

ドルトムントが誇るスーパー・スターも、私服に着替えれば、静かな27歳の青年だ。生まれてこの方、ノルトライン=ヴェストファーレン州を出たことがない“田舎者”。  

ただ、その辺の若者と違うのは、媚びないところか。スターとしての自覚がそうさせるのかもしれないし、田舎育ちでシャイなだけなのかもしれない。  

愛車はアストン・マーティン。質実剛健な独車ではなく、気品漂う英国車のハンドルを握る。黒く滑らかな流線型のボディがスピードに乗る様は、まるで飽くなき意志を秘めたロイスが駆け出すようである。  

ワインディングロードで流れる音楽は、ドレイク、クリス・ブラウン、ザ・ウィークエンド。静かにリズムを刻むヒップ・ホップと、儚くしっとりとしたR&Bは、荒んだメンタルを癒し、闘志を前に掻き立てる。

 
怪我に苦しんだが、22日の欧州チャンピオンズリーグ、レギア・ワルシャワ戦で戦列に復帰。5ヶ月ぶりに先発出場する。クロップ前監督時代からの仲間=ヌリ・シャヒン、香川真司と連動してゴールを奪う。

  復帰戦で加速する“田舎者“を載せたのは、プーマの『エヴォスピード』だった。目を引くオレンジと白のコントラスト。黒く流れるラインは、ロイスの意志そのものだ。