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本田千尋の『フロム・トレーニングセンター』vol.17”天才”マリオ・ゲッツェが履くナイキ『マジスタ オブラ Ⅱ FG Radiation Flare』

金子塾卒業生にして、現在はドイツに拠点を置くスポーツライター本田千尋のちょっと変化球な企画。ブンデスリーガのスターはどんな音楽で気持ちを高め、どんなクルマで移動時間に鋭気を養い、そしてどんなスパイクで闘っているのか。トレーニング・センターからのダイレクト・レポートをお伝えします。

Icon img honda600 本田 千尋 | 2017/03/09
  消えゆく輝き。  

バイエルンでペップに干された“天才”は、2016年の夏、古巣のボルシア・ドルトムントに戻ることを決断した。  

一度は離れた、生まれ育った故郷。いつか凱旋した試合で、この世のものとは思えない罵詈雑言を浴びせかけてきたドルトムントの人たちは、思いの外、暖かくマリオ・ゲッツェを再び迎え入れた。  


しかし“天才”という言葉が、他者を圧倒する際立った何かを意味するのであれば、帰還した英雄は今、与えられた称号を裏切り、故郷に埋没してしまっている。  

今季のブンデスリーガでは11試合に出場してわずか1ゴール1アシスト。足元をオレンジ色に彩るナイキ『マジスタ オブラ Ⅱ FG Radiation Flare』は、輝いていない。  

かつてメルセデスベンツ【Aクラス A250 シュポルト】のハンドルを握っていた頃――。  

「メッシよりも優れていることを示してこい」  

灼熱のブラジルW杯。決勝のアルゼンチン戦で、レーブ監督に背中を押されて戦場に送り出されたゲッツェ。決勝弾を叩き込んで、母国を栄光に導いた。

 

メルセデスベンツ【Aクラス A250 シュポルト】を彩る赤のようなさりげない一撃で、“神の子”率いるサックス・ブルーの集団に垣間見せた、奈落の底。  

それ以来、ゲッツェは「メッシよりも優れていること」を示せていない。  

深い闇に埋もれる“天才”は、〈One Dance - Drake feat.Wizkid & Kyla〉や〈I‘m Sayin’ - Omarin Feat. Rich Homie Quan〉といった、小宇宙に星が瞬くような曲を好む。  

リバプールを率いる恩師クロップの関心も伝えられるゲッツェ。煌めきを取り戻すために、再び故郷を離れる日も近いのかもしれない。