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卓球ラバー改革!ミズノ・オリジナル高品質ラバー『Q3』とは、何!?

卓球のボールを打つラケットの両面に取り付けるゴム状のラバー。ミズノ株式会社(代表取締役社長:水野明人)が初めて独自開発したオリジナルの卓球ラバー『Q3」の企画・開発に携わった2人の担当者の言葉には、熱いメッセージが込められていた。

Icon aff20898 d2d2 431d 8b05 0f3c5e5ae91b 佐久間秀実 | 2017/11/10
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良いラバー、最先端のラバー、求められるラバーとは、どういったものなのか。

ミズノは、1,000個以上のサンプル製作と3,600回のテストを繰り返し、初めてオリジナルとなる卓球ラバー「Q3」を生み出した。

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ミズノ株式会社 
グローバルイクイップメントプロダクト部

コンペティションスポーツ企画生産課 課長 
高山幸洋氏
 

――ミズノ初のオリジナルのラバーを生み出した経緯を教えていただけますか。  

高山:卓球ラバーは生産拠点が非常に限られていまして、市場の大半のブランドがドイツのOEM先に発注をしている状況となります。弊社も、そこに欲しい商品を伝えて供給してもらってサンプルを実打によるテストと機械による測定を行い商品化していましたが、他の卓球メーカとの差別化が難しい状況でした。  

卓球は、オリンピックでの人気種目になるために国際卓球連盟が努力をしています。2014年のボールの材質変更も安全面に配慮するなどの理由からでした。ただそうした変化は選手にとって非常に大きいもので、選手は様々なラバーを選びました。そこで、スピーディーに市場へ供給し、選手のニーズに応えられるようなブランドになりたいということで高品質な独自性のある卓球ラバーの開発に乗り出したんです。  

卓球ラバーの素材はゴムとなり、弊社ではシューズのソールなどで使用していましたが、要求性能が特殊なものなので、ゴム開発に関してプロフェッショナルの住友理工株式会社さんと共同開発をして「Q3」が誕生しました。  

――特長を教えていただけますか。  

高山:市場に出ているラバーの中でもトップクラスで、非常に元気が良くボールが飛ぶゴムを使用しています。それについては、樋口が詳しいですね。

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ミズノ株式会社
グローバルイクイップメントプロダクト部
用具開発課 
樋口直矢氏
 

樋口:卓球ラバーは、回転しているボールがラバーにぶつかる時にどれだけ弾むかが大事です。エネルギー効率が市場でトップクラスとなるゴムを使用しています。  

様々な卓球ラバーを徹底的に分析・解析を行いました。特に選手が感じる評価を数値化することに苦労しましたね。  

――ボールが飛び過ぎると、ラケットで打つ際にコントロールをする必要性が出てきますよね。  

樋口:仰る通りで、野球のバットやゴルフのクラブと違って、ボールが飛べば良いというものでもないですからね。狭いコートの的を得るために大事となるのが、どれだけ回転をかけやすいかということになります。  

高山:飛び過ぎると本来は難しい商品になってしまいますが、選手は動きながらボールを打ち相手のコートに入れるという作業をします。上級者になれば元気のいいゴムを選びますし、自分のプレースタイルによって、ラケットのフォア側(前面)とバック側(後面)に貼るラバーを同じものにする人がいれば、違うものにする人もいますね。  

ミズノが初めて独自開発をした「Q3」は、現在1種類ですが、選手が色々使い分けられるようにラインナップを増やしていき、他社さんとは違った新しい提案をしていきたいと思います。  

――近年の卓球人気について、どう思いますか。  

高山:リオオリンピックで卓球が認知されたことで、部活の新入部員や一般で卓球をやる人達が物凄く増えていますよね。気楽に楽しめますから、エントリー層向けのものも考える必要があります。  

――高山さんと樋口さんは卓球を行ってきましたか。  

高山:ミズノ卓球開発チームに卓球経験者は誰もいません。全て数値で測るために、あえて卓球経験者を0にしています(笑)。実験では、1日にボールを何千発も打っていて大変ですけどね。

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――樋口さんは、卓球のラバー以外に何を開発してきましたか。  

樋口:卓球ラバーだけではなく、バトミントンやテニスのラケットなどの数値化をしてから設計をしています。

簡単にはいかなく、選手にヒアリングと実験をしてから数値化するという作業を約3年間何度も何度も繰り返して行った結果、「Q3」が完成しました。ミズノには、同じような仕事をする人が数十人いますね。

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――最後に、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けての目標はありますか。

高山:「Q」をシリーズ化して、2020年に向けて続けていきます。新しいラバーを開発し、日本人選手が活躍できるようにトライをしていきます。  

樋口:2020年は大きな1つのゴール地点であり、市場で1番のラバーであると認知してもらいたいですね。現在のルールの中で市場を驚かせ、その結果ルールを変えてしまうような商品をつくりたいです。卓球のルール変更は2020年まではないと思いますので、それまでの期間が重要だと考えています。  (了)


卓球ラバー「Q3」
http://www.mizuno.jp/tabletennis/madeinjapan/
 
 

ミズノ株式会社
http://corp.mizuno.com/jp


取材協力/ミズノ株式会社

写真提供/ミズノ株式会社
取材写真/佐久間秀実