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選手からGMに転身!元ヴァンフォーレ甲府土橋宏由樹が語るセカンドキャリア

先日中銀スタジアムで行われた「ヴァンフォーレ甲府OBマッチ」に参加された選手たちのなかには、過去にご自身の引退試合を主催された選手もいらっしゃいました。ヴァンフォーレ甲府で7年間プレーした土橋宏由樹さん。土橋さんが考える「引退試合」とはどのようなものだったのでしょうか?

Icon fopv vbvqbakadu 白鳥 純一 | 2017/11/17
土橋宏由樹さんは、山梨県の韮崎工業高校を卒業後、ドイツのヴェルダー・ブレーメンへのサッカー留学を経てヴァンフォーレ甲府に1998年入団。2005年までチームの主力選手として活躍しました。

ヴァンフォーレ甲府退団後は、松本山雅FC、AC長野パルセイロと長野県内のクラブでのプレーを経験し、2011年引退。

土橋選手は、現在どのようなセカンドキャリアを過ごされているのでしょうか?

<ヴァンフォーレ甲府レジェンドマッチ当日の様子>

<ヴァンフォーレ甲府レジェンドマッチ主催長谷川太郎さんの想い>

選手時代の土橋宏由樹さん

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©VFK

韮崎工業高校(1992〜1995)
ヴェルダー・ブレーメン(1995〜1997)
ヴァンフォーレ甲府(1998〜2005)
松本山雅FC(2006〜2007)
AC長野パルセイロ(2008〜2011)




――現在どんな仕事をされていますか?  

土橋:いまは長野にあるフットサルクラブチーム、ボアルース長野でゼネラルマネージャー(GM)をしています。

その傍らで会社も立ち上げて、スポーツや農業関連のイベントを手がけるなど、さまざまなビジネスに携わっています。

――現在の仕事に出会うまでの経緯を教えてください。

土橋:ヴァンフォーレ甲府で7年プレーした後、松本山雅、AC長野パルセイロに移籍して引退。その後はACパルセイロのアンバサダーとして活動していました。 

――引退してすぐにアンバサダーに就任されたんですか?現役生活に対して未練はありませんでしたか?

土橋:選手としてのオファーもありましたが、他の地域リーグに移籍してしまうと今まで長野県で築いてきた経歴が薄くなってしまうと思い、現役生活にピリオドを打ち、パルセイロのアンバサダーに就任しました。

――土橋さんにとって、長野県でサッカーをする魅力は何でしたか?

土橋:長野県は、2つのサッカー専用スタジアムがあるにもかかわらず、サッカーをやる子供達が他県よりも少なく、まだまだ発展の可能性を秘めていると思ったからです。

「引退したけど、どうしよう?」と悩む選手も多い中で、契約満了を言い渡されるタイミングでクラブからアンバサダー就任の声をかけてもらったのは、幸せなことだと思っています。

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――引退を決める時期に、セカンドキャリアに関する悩みはありませんでしたか?  

土橋:
現役を移籍した最後のシーズンは、怪我で試合に出られませんでした。選手は「今年解雇になるだろう」って、なんとなくわかるんですよね。

「来シーズンはどうなるんだろう?」とか、「第二の人生でサッカーできるの?」といったような不安を抱えながらプレーしていました。


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――土橋さんは、ACパルセイロと松本山雅という「信州ダービー」での引退試合を経て、現役生活にピリオドを打っていますね。引退試合についてはどのように捉えていましたか?


土橋:
引退記者会見での「やりきりました!」とかって選手の言葉があると思いますが、実際の本音は違うんじゃないかと思っています。

選手は自分に自信を持っていますし、満足して引退を受け止められている人なんてほとんどいません。

僕の場合は、引退試合をやらせてもらえたおかげで「次のステップに進まないといけない」という気持ちになり、現役生活に区切りをつけることができました。

僕は松本山雅からACパルセイロに移籍したんですが、同じ地域リーグで、両チームのサポーターが強いライバル意識を持っている時期の移籍だったので本当に大変でした。当時は嫌なこともありましたが、いま振り返ると移籍して本当に良かったと思っています。

――引退試合当日は両チームのサポーターで大盛況に終わりましたが、苦労はありませんでしたか?

土橋:企画当初は、松本山雅のサポーターが来てくれると思っていませんでした。実際に数日前には、松本山雅のゴール裏の人たちから「引退試合には行かないから伝えて欲しい」と言われました。

でも「僕の引退試合だからじゃなくて、松本山雅でプレーしていた選手たちの応援に来てあげてください」と伝えたんです。すると試合当日、サポーターの皆さんが足を運んでくれて


ACパルセイロのホームに松本山雅のサポーターが並ぶという光景に本当に感動しました。


選手のなかには、志半ばでサッカーを離れてサポーターに挨拶できずに終わっていた人もいたので、両チームのOB選手みんなの引退試合にしてあげたかった。試合当日には出場選手のいまの所属会社とか、チームを書いて配ったりもしましたね。


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―― 今回のような引退試合を開催するサポーツマンの活動や、選手たちのセカンドキャリアに対してご意見はありますか?

土橋:
(引退試合をするという)サポーツマンの企画は本当に素晴らしい活動だと思います。選手たちは、解雇などの理由でチームを離れることがあっても、古巣を嫌いにはなれないんです。

解雇された後の数年間はなかなか素直に応援できないですが、時間が経てばやっぱり好きなクラブになっていくと思いますよ。


今回のような企画がなければ、育ててもらったヴァンンフォーレ甲府のユニフォームを着て中銀スタジアムでプレーしたり、当時のサポーターと再会することもなかったと思うので、本当に良かったです。


また古巣クラブを応援できたりとか、絆が深まるとか、サッカー界の発展にもつながりますし、可能性がある試みではないかと思います。

取材協力

一般社団法人ヴァンフォーレスポーツクラブ
ヴァンフォーレ甲府
サポーツマン
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