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野球の楽しさを伝えるために。“松坂世代No.1スラッガー”古木克明が描く夢

かつてプロ野球界の一大勢力となっていた“松坂世代”の選手たち。その象徴である松坂大輔投手は中日ドラゴンズにテスト入団し、最後の一花を咲かせようとしている。一方で、同じ1980年生まれの選手の大半はすでに第一線から退き、それぞれの道を歩んでいる。高校通算52本塁打を放ち、鳴り物入りで横浜ベイスターズ(現、横浜DeNAベイスターズ)にドラフト1位で入団した、古木克明さんもそのひとりだ。当時、“松坂世代No.1スラッガー”と呼ばれた男は、現在は個人事業として「Baseball Surfer(ベースボールサーファー)」を立ち上げ、幅広い年代の人たちに野球の楽しさを伝えている。事業のひとつである野球教室を覗いてみると、子供たちに優しく丁寧に指導する古木さんの姿が、そこにはあった。

Icon 1482131451808 佐藤 主祥 | 2018/03/01
「ほらっ、へこたれるんじゃない!はい、もう一球!」

海風が心地よい、茅ヶ崎に拠点を置くあるスポーツクラブで、厳しくも優しい声が響き渡った。

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小学校低学年の子供たちが、最後はヘトヘトになりながらも、古木さんが投げるボールに食らいつく。

「疲れた?もうやめる?」と聞くと、ブンブンと首を振り、男の子らしい負けず嫌いな一面を見せる。

最後の1球を打ち終えると、古木さんは必ず「よし、ナイス!」と子供たちの頑張りを称えていた。

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古木さんは現在、野球教室やアパレル事業などを展開する「Baseball Surfer(ベースボールサーファー)」を2017年に立ち上げ、新しい野球の楽しみ方を提案したいという想いの下に、様々な活動を行っている。

改めて人生を振り返ると、1999年にドラフト1位で横浜ベイスターズに入団。プロ4年目には初の開幕スタメンの座を勝ち取り、自己最高の22本塁打を放つなど頭角を現した。

しかし、そのままレギュラーを掴み取ることができず、2007年オフにはトレードでオリックス・バファローズに移籍。

2009年オフに戦力外通告を言い渡され、12球団合同トライアウトを受けるもどの球団からも声はかからず、ユニフォームを脱ぐ決断をした。


「引退したとき『もう野球をやらなくてもいいんだ』と、ホッとしている自分がいましたね。プロ野球選手としての生活は大半、苦しい思いをしてきましたから」

その後、第2の人生として選んだのは総合格闘家だった。

2010年の大晦日には「Dynamite!!」に参戦。ボビー・オロゴンの弟アンディとの凄まじい試合に衝撃を受けた人は多いのではないだろうか。

そこから格闘家として活動し、2年が経った時にふと、ある思いが頭をよぎった。

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「また、バットを振りたい」

それは素直な気持ちだった。人生で初めて長い間、野球から離れたからかもしれない。野球が好きな気持ちに、改めて気付いた瞬間だった。

そして再び現役復帰を目指し、バットを振り始めた。

2011年から2年連続でトライアウトに挑戦。獲得する球団は現れず、日本球界復帰は叶わなかったが、2013年には米独立リーグのハワイ・スターズに入団し、1シーズンのみながら再び選手としてプレーした。

その後、2014年に事業構想大学院大学に入学し、事業構想を学び修めた証しである事業構想修士(MPD)を取得。

アスリートのセカンドキャリアを研究した末、自らの手で事業を立ち上げる道を選んだ。

「2016年に大学院を卒業してから、『自分がやりたいことは何なのか』『社会に役立つことは何なのか』を1年かけて考えました。そこで改めて日本の野球を見てみると、年々競技人口は減り、身近に野球ができる場所がないことに気付いたんです。なので、野球の普及と競技の楽しさを伝える活動をしようと、決心しました」

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そうして「Baseball Surfer」を立ち上げ、メイン事業として野球教室を展開。神奈川県の茅ヶ崎に拠点を置く、ハヤシスポーツクラブで毎週月曜日〜水曜日、夕方から夜にかけて開催している。

練習のほとんどの時間に費やしているのが、トスバッティングだ。

古木さんが子供たちの打撃フォームに対してアドバイスを送りながら、1球1球丁寧に下から軽く送球する。

「バットは内側から出さないとダメだよ。気持ちは反対方向に!」

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子供たちがバッティングに苦戦していると、古木さんはすかさず歩み寄り、バットを振り切るまでの過程の動作を細かく指摘した。

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終盤にはピッチングと守備練習を続けて指導。

ピッチングでは「まずしっかりと構えて、力を抜いて立つ。そこから真っ直ぐ足を出して投げる。これを意識してください」とアドバイス。

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守備練習では「飛んできた打球に対して真ん中の位置で取り、1回止まってください。それから右足を出して、ボールを収めたグローブをおへそに持ってくる。そしてステップしながら投げてください」と、1つ1つの動きを確認していきながら教えていった。

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野球教室を終える際、参加した子供たちへ、今後の野球につながる最後の言葉を送った。

「バッティングでは、まずは見ることを意識してください。相手ピッチャーの投げた球をよく見て、そこから打ちにいく。振り遅れないようにって始動を早くしなくても、十分間に合います。それができれば楽勝で打てるから。みんな頑張ってください」

振り返ると、古木さんが教える野球教室ではキツイ練習の中でも、子供たちは常に笑顔で、楽しみながら野球に取り組んでいた。

時には笑い、時には真剣に白球を追いかける。その中でひとつ共通することは、どんな状況でも野球を楽しむ姿勢だった。

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今回の野球教室を通じ、古木さんは今後の活動の方向性を、このように示した。

「子供たちには『野球って、やってみたらこんなに楽しいんだ!』ということを感じてもらいたいんです。野球教室やイベントの開催を始めとした、アスリートによるビジネスを通じて、真の野球の楽しさを伝える。こういうビジネスモデルを構築していきたい。これが僕の夢です。実現できるように、僕自身も成長していきたいですね」

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また、大人から子供まで誰でも参加できるイベントとして、3月〜11月の間で月1回、土曜日の朝6時から野球をする“朝活(アサカツ)”を行っている。

始めた理由を聞くと、「朝早く起きて野球をして、その後の休みの時間を有意義に使ってほしいからです。それに夜遅くに帰ってくるお父さんは、お子さんと接する機会が少ないはず。だからこの朝活を利用して、楽しい思い出を作ってほしい。そういう想いもあります」

それは、なんとも心優しい古木さんならではの言葉だった。

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また、アパレル事業として「Baseball Surfer」のロゴマークをモチーフにしたTシャツやパーカーを販売している。

従来の野球着が、ほぼ機能性だけを追求したものが主流なのに対し、よりファッション性高く、かっこよく着られるものを、という想いから誕生した。

シンプルなデザインのため、普段着としても愛用できるアイテムが揃っている。


「多くの方にTシャツを着てもらって、『Baseball Surfer』を日本中に広めていきたい。それを通じて、野球の楽しさをたくさんの方に知ってほしいんです」

プロ野球界から戦力外通告を受け、総合格闘家、米独立リーグ、大学院入学、そして起業。波乱万丈の人生を経て、壮絶な体験を乗り込えたからこそ、今がある。

「野球の楽しさを伝えるために。そして、生涯野球が好きだと言ってもらえるように」

その夢を実現するべく、古木克明の挑戦は続いていく。


◆「Baseball Surfer」Tシャツ/パーカー販売情報

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Tシャツ(ホワイト)

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Tシャツ(ブラック)

<Tシャツ (Uネック)>
◯ メンズ
サイズ:S, M, L, XL
カラー:ホワイト、グレー、ブラック、バニラホワイト
価格:3,980円(税込)

◯ レディース
サイズ:S, M, L
カラー:ホワイト、グレー、ブラック、バニラホワイト
価格:3,980円(税込)

◯ キッズ
サイズ:120, 130, 140, 150
カラー:ホワイト、グレー、ブラック、バニラホワイト
価格:2,800円(税込)

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パーカー(ブラック)

<パーカー>
サイズ:S, M, L, XL, XXL
カラー:グレー、ネイビー、ブラック、オリーブ
価格:S, M, L, XL 6,800円(税込), XXL 7,000円(税込)

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スウェットジップパーカー(グレー)

<スウェットジップパーカー>
サイズ:S, M, L, XL, XXL
カラー:グレー、ネイビー、ブラック
価格:6,800円(消費)
※冬季限定(11月〜2月末)
※綿52%、ポリエステル48% / 30s×10s
※裏起毛、フードは二重構造

詳しくはこちらをご覧ください↓
https://baseballsurfer.com/