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ヨーロッパの大地を踏みしめて ~ 地中海に浮かぶ小国マルタ 紺碧の海と空に包まれる旅路 ~

2018年2月25日 Vodafone Malta Marathon 東京マラソンに沸く日本の首都から見て地球の反対側、地中海に浮かぶ小国「マルタ共和国」でも熱い戦いが繰り広げられていた。マルタの魅力とは この国を走る魅力とはヨーロッパの現地から、KING GEAR編集部がその情報をお届けします。

Icon kuni 國友貴文 | 2018/03/15
2018年2月25日、 東京マラソンに沸く日本の首都から見てちょうど地球の裏側では、 規模こそ、そのマラソン大会には遠く及ばないものの、 ヨーロッパ各地から訪れるランナーの期待を裏切らない 素敵な旅路を持つマラソン大会が行われていた。   

マルタ島・マルタ共和国   日本ではあまりなじみのない国かもしれないので、少しだけこの国に触れておきたい。   

地中海に浮かぶマルタ島。 場所はイタリアの隣。 イタリアを長靴に例えるのであれば、そのつま先のところに隣接する島である。 東京23区の半分程度の面積に、40万人程の人が暮らすリゾート地である。     

ヨーロッパという地域は歴史上、争いの絶えない地域である。 ヨーロッパ内の争いもそうだが、南に位置するアフリカからはイスラム教徒が侵攻してくる そんな中にあって、ちょうどヨーロッパとアフリカを結ぶ要所にあるマルタは、 かの有名なナポレオンの進行の重要拠点になり、 二度の世界大戦でも、その重要な地理的位置から争いに巻き込まれることも多かった。

Thumb efbc92 マルタの一景色。過去の名残だろうか、対岸には防壁も多く残る。 

その面影を残す地域も多いものの、この島の魅力は何と言っても、青い空   碧い海であることに疑いの余地はない。   

実際、ヨーロッパではかなり人気の高いリゾート地でもある。

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          このような碧い海が広がっている

そのような、素敵な景色と気候の中を走る大会が、 そう、 「マルタマラソン」ということになる。   

一つ難点があるとすると、美味しい魚介と、素敵な景色に魅了され、 走るという目的を少し忘れてしまうことくらいであろうか。       

さて、話をマルタマラソンに戻そう。   

この大会は、大きく分けて2つに分かれる。 フルマラソンとハーフマラソンだ。   標高差はおおよそ220メートル。 全体的にみるとスタート地点からなだらかな下り坂である。 正直なところ、「下り坂なら楽かな」と思っていた。     

走り出して30分程度までは。。。     
スタート地点までは、 マルタの首都・バレッタから送迎用バスに揺られること30分。   

首都のバレッタこそ、リゾート地にふさわしい活気に満ち溢れたところであるが、 内陸に行けば行くほど、何の変哲もないただの荒れた地という印象を受ける。 ところどころ、歴史の名残を感じさせる城壁のようなものが見える程度だ。
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スタート地点付近から見える風景。奥に見える街が首都のバレッタ

スタート地点も、荒野の中にぽつんと立つ廃墟のような場所である。   

規模の小ささを考えると、日本のメジャーなマラソン大会よりは少し寂しさは残るが、 ヨーロッパ中から集まった約4000名のランナーには関係ない。 日本からも今年は約70名の参加者がいたとのこと。

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スタート地点付近。今か今かと号砲を待つランナーたち   当たり前だが、日本のマラソン大会と異なり、周囲は日本人以外の方が多い。   

ただ、少し日本と違うのは、 ヨーロッパの各地から集まっている様々な土地の人が、 自身の国の名前の入ったウェアや、国旗を掲げる人が多いことだろうか。   

さすがヨーロッパである。 様々な人種・民族がいる中で、みな自国を愛しているのだろう。   

スタート地点が島の中央付近であること、また、人がたくさん住むような地域ではないことも相まってか、スタートしてからしばらくは、もの静かな島の真ん中をランナーだけが颯爽と駆け抜けていく。   

時折、手を振ってくれる方がいらっしゃる程度だ。   
レースマップにあった通り、 なだらかな下り坂のような気分で走っていた。

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レース序盤の風景。少し殺風景である。   
しかし、 確かに、スタート地点とゴール地点の標高差だけを取れば、なだらかな下り坂なのかもしれないが、このマルタマラソン、意外に過酷であることに気付くのに、 そこまで時間は必要なかった。     

とにかく、 陸橋や、 地形として細かな登りが 多い   
下っているのだが、 少し上る。   

また下って、 また少し上る。   
これの繰り返し。   

3歩進んで2歩下がるような感覚を覚える。       

そして・・・リゾートというだけある。 
2月だというのに、暑い。。(当日は約20度を少し超えた気温)以前にもマルタマラソンに出場していた日本人の方に、レース前に聞いた話が頭をよぎる。 

その方、本格的にトレーニングをしており、 当然、フルマラソンにも何度も出場されているような女性だ。   

「私はフルマラソンに前に出場したんだけど、   とにかく、   生きて帰ることしか途中から考えれなくなったの(笑)」   と。     確かに、ハーフでこれなら、 フルマラソン等想像したくもない。     

序盤こそ、 走りながら景色を楽しむ余裕もあったが、途中からは、無心。     

思うことと言えば、登り坂に差し掛かった時に、「ここでさぼっちゃいけない」と、もはや何のひねりも無い当たり前のことくらいしか思いつかない。   

そしてまた坂を超えると   無心。     

ところが、そんなレースの中にあって、 時々、とても気分のよくなる声が聞こえてくる。これはヨーロッパの人の気質なのだろうか、 それとも、ヨーロッパ関係なくそうなのだろうか、 とにかく皆さん走りながらお互いを鼓舞する   「頑張れ!(何語かわからないけど多分)」   「行くぞ!(これも感覚的にこう解釈)」   と言った具合である。   

あまりランナー同士で鼓舞し合う感覚が無かったので、初めは誰に言っているか分からなかった言葉も「Japan」 という言葉が加わると「あぁ、自分に対して応援してくれてるんだ」 と気づく。     

この感覚は、良い。     

自分だけでなく、走ってる人はみんな同士。一緒にゴールを目指す同士。とても良い感覚を覚える。    
 ハーフマラソンというのは、 終わってみると早いもので、 あっという間に首都バレッタの景色が見えてくる。 
 
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               ゴール付近の様子   

ここまで来ると当たり前かもしれないが、とたんに元気がでてくる。辛かった坂道も、 暑さも忘れ、ただひたすらゴールを目指すのだが、バレッタ、とても素敵なリゾートアイランドの首都だけあってやはり気持ちがよい。

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夕暮れ時のバレッタ。

写真右手の海沿いが、ゴール付近のコースになる。   
地中海に浮かぶ小国・マルタ共和国   魚介も美味しく 海は美しい リゾートとして人気があるのもよくわかる そんな土地の風を感じながら少しだけ辛いかもしれないが、 辛いからこそ終わった後の達成感もある。   

そんな色んな魅力を一度に感じれるマルタマラソンをぜひ、機会があれば足を運んでほしい。