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平昌五輪メダリストたちが語る、ファンへの感謝と新たな決意Vol.3【日本代表帰国報告会〜カーリング選手編〜】

平昌五輪の日本代表選手団による帰国報告会が東京・六本木の東京ミッドタウンで行われ、日本を沸かせたメダリストたちが、熱戦が繰り広げられた今大会を振り返った。今回のVol..3では、男女を通じて初のメダルを手にしたカーリング女子代表、そして表彰台まであと一歩のところまで迫った男子代表のインタビューをお届けする。女子はトーク中、話題を呼んだ「そだねー」を生披露し、集まったファンは大喜び。肌寒かった会場を熱く盛り上げた。

Icon 1482131451808 佐藤 主祥 | 2018/03/21
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勝利が決まった瞬間、日本中が感動に包まれた。

平昌五輪の閉会式前日に行われたカーリング女子3位決定戦。日本代表のLS北見はイギリスに5ー3で逆転勝ちし、同競技で史上初となる銅メダルを獲得した。

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準決勝の韓国戦では崖っぷちから追いつき、延長までもつれる大接戦の末に敗北。目標の金メダルには届かず、悔しさをにじませ涙をのんだ。

しかし、気持ちを切り替えて望んだ3位決定戦で、同点の第9エンドに1点をスチールして勝ち越すと、第10エンドにも1点を追加。前回ソチ五輪3位のイギリスを破り、11試合に及ぶ激闘の末に初の表彰台を勝ち取った。

その瞬間、選手は号泣し、氷上で歓喜の抱擁を交わした。

主将としてチームを支えた本橋麻里選手は「涙があふれてしまうぐらい重みがある」と悲願のメダル獲得に感激。スキップ・藤澤五月選手は「4年間、ここに来ると誓って成長してきた。このチームを誇りに思う」と語った。

また、試合中に栄養補給する「もぐもぐタイム」がSNSを中心に話題になり、ストーンを投げる際に頻繁に飛び交う「そだねー」というフレーズは今年の流行語大賞筆頭候補になっている。

この5人のカーリング娘が魅せた戦いや発した言葉によって、日本に空前のカーリングブームを巻き起こしたのは間違いない。

そんなLS北見(藤澤五月選手、吉田夕梨花選手、鈴木夕湖選手、吉田知那美選手、本橋麻里選手)に日本代表の応援団長・松岡修造さんが今大会についてインタビューを行っていくと、会場は終始笑顔が絶えない和やかなムードに包まれた。

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松岡:カーリング女子のみなさんには、とんでもない力をもらいました。銅メダルおめでとう!

藤澤:ありがとうございます!

松岡:日本に帰るまで、これだけ歓迎されるっていうのは想像できなかったと思うんですけど、多くのファンの方々に迎えられた時の気持ちはいかがでしたか?

藤澤:実際に帰ってみると、本当にたくさんの方に支えられていたんだなぁっていうのを感じます。

松岡:感じますよね。ただ、すごいプレッシャーだったでしょ?俺、最後にあんな逆転劇、絶対起こせないもん(笑)。どうやってあのプレッシャーを乗り越えました?

藤澤:自分たちが今までやってきたことを全力で試合に出すだけだなっていう風に思っていたので、自分たちを信じてやる。それだけでしたね。


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松岡:なるほど。続いて本橋さんにお聞きしたいのですが、チームを外から見守っててどうでしたか?

本橋:みんなすごいたくましかったですし、たくさん笑顔が出ていたので、チームロコ・ソラーレ(LS北見)らしい試合ができたかなと思います。

松岡:苦しい時もあったと思いますが、自分たちにとって「ここが武器だな」と思ったのはどのあたりでしょう。

本橋:やはりセミファイナルで韓国に負けてしまった後に、気持ちに整理をつけて3位決定戦に望めたというメンタルの部分ですね。それによってメダルをゲットできたっていうところが一番の収穫だと思います。

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松岡:もしあの時負けていたら、また4年間苦しまないといけない可能性があったわけですよね。本当によく立ち直れたなと思います。鈴木さんは今大会よく泣きましたね?(笑)

鈴木:はい(笑)

松岡:いろんな涙がありましたけど、どの涙が一番印象に残っていますか?

鈴木:やはり最後にみんなで流した嬉し涙が、人生で一番最高の瞬間だったなという風に思います。

松岡:その嬉し涙っていうのは、自分だけじゃないわけじゃないですか。LS北見の地元である北海道北見市常呂町も含めて、みんなの気持ちが重なって流れた涙だと思うんです。多くの人たちの想い、どのように受け止めていたんですか?

鈴木:3位決定戦で勝った後に、私たち以上に観客のみなさんが喜んでくださり、男子の選手たもずっと声を張って応援してくださっていたので、私たちの夢が誰かの夢になるって本当に幸せだなと思います。


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松岡:ありがとうございます。続いて吉田夕梨花さんにお聞きしますが、カーリングって負けても次があるから、気持ちを切り替えられたことと、負けたことを力に変えることができたことが今回の勝因につながったと思うんです。その部分はどう感じていらっしゃいますか?

吉田夕:正直、予選の最後に2連敗した時には、結構チーム内の雰囲気が暗くなってしまったんです。でも、その中でチーム全員が自分のことを信じることができて、準決勝で私たちらしい試合ができた。結果的に負けてしまいましたが、そこで自信を取り戻せたのがすごく大きかったと思います。

松岡:具体的にどうやって自信を取り戻せたのでしょう。

吉田夕:自分たちが「五輪でやりたかったことって何だろう」ということを一人ひとりで考えました。それによって「次の試合で悔いのないようにやろう」と、
気持ちを切り替えることができ、自信あるプレーを取り戻せたのだと思います。

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松岡:話は変わりますが、試合の合間にお菓子や果物を食べる「もぐもぐタイム」というのが話題になりました。でも普通は休憩時間にマイクなんか付けないじゃないですか。それを考えると、カーリングって特別な競技だと思うんですよ。藤澤さんはその部分をどう感じていますか?

藤澤:マイクをつけてることによって、カーリングの選手たちはこんなことを話していて、ショットを決めるためにどんなコミュニケーションを取っているのか。そういう部分を全てさらけ出して、日本のみなさんに見ていただけたのが本当に良かったなと感じています。そういった試合内外含めて、カーリングの魅力だと思いますね。

インタビューの最後に、松岡さんが一人ひとりにあの流行語を要望すると、藤澤選手たちは恥ずかしそうに「そだねー」をそれぞれ披露。観客は大喜びだったが、藤澤選手は「私たちはがこんなに訛っているとは思わなかった」と照れていた。

女子に続いてインタビューに呼ばれたのは、予選で4勝を挙げるなど躍進したカーリング男子代表のSC軽井沢ク(両角友佑選手、両角公佑選手、山口剛史選手、清水徹郎、平田洸介選手)。

長野五輪以来20年ぶりの出場だったが、惜しくもメダルには届かなかった。

まだ悔しさも残る中で今大会の結果について問うと、その気持ちは既に4年後へと向いていた。

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松岡:男子のみなさんも十分表彰台に上るチャンスがあったと思います。ここでお話しするのは少し苦しいかもしれませんが、今のお気持ちをお聞かせください。

両角友:はい。僕たちは20年ぶりに男子代表として五輪に出て8位という結果には終わったんですけど、4勝5敗という成績で、実力通りの結果は出せたかなと思います。

松岡:男子のみなさんは五輪の舞台に立つまで、相当苦しい環境で練習をしていたと思います。でも今大会の健闘が大きなきっかけとなって、もっと練習できる環境を整えていくべきだと、僕は感じました。そのあたりはどのように考えていらっしゃいますか?

両角友:そう言っていただいて、ありがとうございます。本当にその通りで、初めて五輪に出たということが次の五輪につながってくると思うので、それを期待して今後もしっかりと練習に励みたいと思います。僕たちには石を投げることしかできないので。

松岡:ありがとうございます。では最後に、今回の五輪はカーリングにとってどんな場所でした?

両角友:やはり輝いてるステージだと思いました。次の五輪でさらにカーリングが輝くことを祈っています。

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