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英雄たちが愛した歴史的スパイクVOL.4 ~3マテリアルソールのアディダス・ワールドカップシリーズ編~

巻頭写真は1982年スペインW杯のルムメニゲ選手(左)と2002年日韓W杯のカーン選手(右)です。時代は随分違いますが、同じソールのスパイクを履いていました。最近はこのソールのスパイクを履いているトップレベルの選手を見なくなりましたが、現在も生産され続けている3マテリアルソールのアディダス・ワールドカップは、憧れのスパイクの一つでした。とある選手の昔の実使用スパイクを見てから、このシリーズの収集欲が急に湧いてきてしまい、集めてから新たに知った(多分?)どこにも書いていない細かすぎる違いをご紹介します。

Icon 29634314 1815368455432881 1085668874 o 小西博昭 | 2018/04/18
(スパイクブログ始めました。https://maradonaboots.com/W杯を目前に控えたこの時期のサッカー代表監督解任劇に日本人の誰しもが驚くようになるとは、30年以上前には想像もつきませんでした。

こんな時期に協会の会長さんや、前監督、そして次期監督が現役だった頃の昔話ばかりでいつも恐縮です。
 

さて、古今東西、老若男女それぞれのサッカーの神がおられると思います。私にとってサッカーの神は80年代のマラドーナ選手ですが、日本人サッカー選手の神は時代的に木村和司選手です。ご存じのように日産や横浜マリノスで活躍され、スパイクはアディダスユーザーでした。

図1左は木村選手の現役時代のスパイク、ワールドカップ82です。これもご存じの方が多いと思いますが、以前は、アディダス、プーマ、アシックスが持ち回りで日本代表(80年代半ばぐらいまで全日本と呼ばれていました)の用具サポートをしていました。

85年夏頃、メキシコW杯2次予選の香港戦からはプーマが代表のサプライヤーでした。

しかし、日産所属の木村選手や水沼選手、柱谷(兄)選手らは普段履きなれたアディダススパイクのラインなどを黒塗りして代表戦でご使用でした。

読売クラブでプーマも履いていた加藤久選手(図1右)は、このラウンド前のシンガポール戦で勝利した時に使っていたアシックスのスパイクを、プーマに見えるようにして使い続けたようです。
 

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1 木村選手実使用スパイク(左)、フリーキックを蹴る木村選手(中央)、当時のキャプテン加藤久選手(右)。

パンツのプーママークが右を向いて飛んでいます(今はほぼ左向き)。選手写真は
1985年サッカーマガジン12月号より。 
  
さて、アディダスの取替え式スパイク・ワールドカップは今も現行品としてドイツで生産されており、デビュー当時とほぼ同じ作りです。

以前、キングギアでも俳優の勝村さんが紹介されていました。(http://king-gear.com/articles/152

このモデルがデビューした頃、シュータン部分に白のトレフォイル+adidasの青地マークがついているスパイクは高級品ばかりで、学生の時に憧れていたこともあり、今でも見つける度に欲しくはなります。

気づけば、ワールドチャンピョンは3足(図2上)集めてしまいました。このスパイクは82年W杯開催時に発売された3マテリアルソールの初代モデルで(WMトップスターという名前だったこともあります) 、つま先のステッチ部分が立体的になっています(挿入写真をご参照下さい)。

その1年後ぐらいにはワールドカップ82という名前になり、つま先部分が現行モデルと同じステッチだけの一枚革になります。ワールドカップ82 のシュータンマークは、初めは青地ですが、黒地もあります(図2下左)。

図1の木村選手のモデルは黒地に白のトレフォイルです。 

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図2 ワールドチャンピョン(上)。3足とも同じに見えますが、中敷き(取り外し可能)の色が白と黒のモデルがあります(上部両端)。

(下)ワールドカップ82。青地マークの中敷きは黒ですが、黒地マークの方は白色です。黒地マークで82がつかないモデルもあるようです。
後述しているように、赤トレフォイルで稀にワールドカップ82がありますが、側面の表示が1行で「WORLD CUP 82」と記されています。古いタイプは2行表示です。 
  

82の文字はその後なくなり、ワールドカップ(1行でWORLD CUP)のみになりますが、シュータンのマークは黒地が続きます。ただ、トレフォイルの色が年によって変わったようで、赤や緑があります(図3上の2足)。

稀に赤になっても82がついているモデルもあるようです。また、 かかとのマークは「adidas」文字が消え、大きなトレフォイルマークのみになり、図3左上のモデルは3本線が革製ですが、その右の緑マークのモデルは合皮になっています。

その後、1992年頃にシュータンマークデザインはそのままで、かかとの革が現行品と同様に3本線下まで延長されます(図3下2足:右は現行品)。

3本線も若干太くなり、かかとのトレフォイルマークはそれまでの物と異なります。その後、おそらく94年頃にシュータンマークとかかと部分の表示が現在の物に変化したようです。付属スタッドもいつしか先端がアルミ製になりました。かかとマークの変遷は図3右端をご参照下さい。

ちなみに図3左下のモデルはフランス製で、型は同じでもドイツ製の物と比べ、かかとの革の色や材質が違うなどの特徴があります。現行タイプになった後、98年頃はドイツ製の他、インドネシア製もあったようです。

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3 生産時期や場所の異なる4種類のワールドカップ。シュータントレフォイル赤(上左)、緑(上右)、92年フランス製(下左)、現行品(下右)。

右端はかかとマークの変遷。上からワールドチャンピョン(ワールドカップ
82も同じ)、赤及び緑トレフォイルマーク(どちらも同じ)、フランス製、現行品の順番。 アッパーは昔も今もすべてカンガルー革です(フランス製のかかと部分だけば別種)。
  

昔の大空翼くんのスパイクはアディダスの取替え式で、ソールデザインまで詳細に描かれています。

今回は図4右の3マテリアルソールのワールドカップについてご紹介しましたが、それ以前に左のアディスーパーソールのワールドカップシリーズがあります。それについても今後ご紹介する予定です。

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4 アディスーパーソール(左)と3マテリアルソール(右)のスパイクが描かれたキャプテン翼。   

アディダススパイクもマレーシアの人にかなりお世話になっています。図5は彼の倉庫らしき写真です。

サイズは限られていますが、ワールドカップ82の現保有数は世界一かもしれません。

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5 マレーシアの人の倉庫らしき場所。一度うかがってみたいものですが、正気でいられるか・・・。   


次回は キングギアだけに個人的には外せない80年代の(黒・黄2色ソールの)プーマ・キング編です。     




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