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マイノリティレポート 第2回 遠藤保仁選手(ガンバ大阪) 「試合では、前半と後半でスパイクを変える」

遠藤保仁がキングギアだけに語ったスパイク観

Icon s 1 戸塚 啓 | 2016/06/21

スパイクの「内側」に秘めたこだわり

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吾輩は「アクセレイター プロ」である。

ナイキでもアディダスでもミズノでもなく、アンブロのスパイクだ。
シーズンのJリーグを見渡すと、吾輩と吾輩の仲間たちを履いている選手が増えてきていると感じる。
我々の良さというものが、ようやく浸透してきたようだ。  

さて、今週も吾輩をパートナーに選んでくれているガンバ大阪の遠藤保仁選手に、
スパイクについて語っていただこう。彼ならではのこだわりを、たっぷりと明かしてくれたぞ。
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  スパイクは「キツめ」に履く

遠藤保仁選手(以下遠藤普通の人の足に比べると、僕はカカトの骨が出っ張っているんです。
そこをどうするのか、アンブロの担当者さんと色々と話をしていきました。
カカトを覆う部分を高くしたり、低くしたりしましたけど、行き着いたのは内側の厚みでした。


あとは、スパイクの表面にも工夫しています。
僕たちガンバのホームゲームでは、ボールが滑るようにピッチに水を撒きます。
試合の半分くらいはピッチが濡れているので、トラップをするときにボールが滑っちゃたりすることが
ある。それをできる限り防ぐために、インサイドを中心としてスパイクの表面に工夫をしているんです。
言葉で説明するのは難しいんですけど、内側を触るとデコボコがあるようなイメージですかね。


それは、キックよりパスを意識しているからでもあります。
コーナーキックとかフリーキックは、1試合に何十本も蹴るものではない。
それよりも、パスを出すほうが圧倒的に多い。
トラップやパスをしっかりできるようにという観点でスパイクもとらえています。
 

うーん、遠藤選手がカスタマイズした吾輩を見せられないのが残念である。
これはやはり、実際にプレーしているところを見に行くしかあるまい。
試合だけでなく、練習も見学したい。 新たな発見に出会えるはずだ。
 

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遠藤 練習はスタッドが固定式のスパイクしか使わなくて、試合では固定とポイントをミックスした
スパイクを使います。土砂降りの雨の試合ではポイントだけのスパイクを履きますけど、日本の
スタジアムはどこもピッチがいいので、ほぼミックスのスパイクですね。

固定式のスパイクを試合で履くのは、年に1回あるかどうか。
去年はたぶん、履いてないんじゃないかなあ。
ここ10年でも、ひとケタの試合数しか履いていないと思います。

どうしてミックスにするのか、ですか? 
「一番は滑らないようにするためですね。」 
踏ん張りやすいように、ポイントの場所を変えたり、高さを変えたりしています。
まあでも、スパイクのグリップ力に頼るという感じでもありません。
身体のバランスも大事ですし。
   

なるほど。吾輩のことは吾輩が一番分かっているつもりだったが、
遠藤選手は吾輩の自覚していないポテンシャルを、引き出してくれているようだ。  

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遠藤 
試合では前半と後半でスパイクを変えます。
とくに夏場は汗をかいて、スパイクのなかがビショビショになるので。


スパイクの履きかたを言うと、僕はキツめに履きます。
“遊び”を作りたくなくて、紐がいらないぐらいのサイズ感で履きます。
紐をギュッと締めないで、ゆるーく締めているだけで問題ないぐらいのキツさで、僕はやっていますね。


写真:清水知良

  (第3回へ続く) マイノリティーレポート第3回目